2018年11月運用レポート
11月はソーシャルレンディングに苦しめられる結果となりました。
ソーシャルレンディング投資のリスクについて改めて考えてみました。
当社でもグリーンインフラレンディング、ガイアファンディングとmaneoグループに投資をしていますが、その双方で遅延という問題が発生しました。
しかも、それらのソーシャルレンディングでは遅延という問題だけでなく、運営元の不誠実な行為により遅延に至ったという最も警戒しなければいけない理由での遅延となっています。
正直このような問題を起こす先に、今後も投資をできる人はまずいないのではないかと思われるところです。
しかし、起こってしまったことは事実でありどうしようもありません。
また、ソーシャルレンディングという投資のリスクの高さを過小評価していた自分自身にも問題があることを認めざるを得ません。
ネット銀行やネット証券などのインターネットを介した金融取引に慣れている人ほど、これらの金融機関のリスクを過小評価してしまっているかもしれないと感じた次第です。
今回は、ソーシャルレンディング投資の一番のリスクについて考えてみたいと思います。
ソーシャルレンディングは、投資家から資金を募集し、不動産事業者などの事業を行う人へ貸し付けを行うことで、投資家は利息を受け取り、ソーシャルレンディング業者はその仲介する手数料として利益を得ています。そして貸し付けを受けた不動産事業者などは、そのお金で不動産開発などを行い、利息以上の利益を上げているという仕組みになっています。
この仕組みの中で、元本毀損が起こるかもしれないリスクは、不動産開発などを事業が予定通りに進まず、利益が出なかったり、最悪開発した不動産が売れなかったりして不動産会社などがお金を回収できなかった時です。
ここまでは、だれでも想定できる話です。
ですが、実際にソーシャルレンディングで問題となっていることは、そこよりも、ソーシャルレンディング業者自身の問題でした。
ソーシャルレンディング投資の肝は、ソーシャルレンディング業者にあるということがはっきりしたわけです。
ソーシャルレンディングで問題が起こる背景には、
①貸付先が投資家にはわからない匿名性となっている。
②担保の評価額をどのように算出しているのかわからない。
といった理由が挙げられます。
①に関しては、貸付先が匿名性であるために、誰に貸し出され、どのように貸付先を評価しているのか、ちゃんと目的通りにお金が使われているのか、といったことが、ソーシャルレンディング業者任せになっていて、投資家にはわからないというリスクです。
例えば、ラッキーバンクというソーシャルレンディング業者では、経営のヤバかった親族の不動産会社をちゃんとした会社であるように見せかけて投資家から資金募集をかけ、貸し付けを行っていたという話がありました。
まさに、ソーシャルレンディングのブラックボックスです。
もう一つの②も同じです。貸し付けを行う時に元本の保全性対策として担保設定しているソーシャルレンディングが結構ありますが、この評価額を無理に高く設定して、元本保全性が高く見せかけているということもありました。
これも、先ほどのラッキーバンクでその事実が発覚しました。
担保の評価額をどう計算しているか、これもソーシャルレンディングのブラックボックスです。
また、担保を設定しているからと言って、必ず貸したお金が返ってくるようなものではないということもあります。
クラウドクレジットで動産担保設定として募集していたファンドがありましたが、延滞が起こった時に、その担保権を実行せず返してもらうまで待つことにしたファンドがありました。
つまり実際に延滞が起こった時に、担保権を実行するかどうかはソーシャルレンディング業者任せということになります。
ここでも、ソーシャルレンディングという業者の采配が大きく影響してきます。
このようにソーシャルレンディング投資というのは、業者への依存度が極度に高いということを考えると、目的の貸付先に貸しているというよりも、ソーシャルレンディング業者に貸し付けていると考えて投資を行う必要があるということがわかってきました。
つまりソーシャルレンディング投資にとって、もっとも注意深く確認しないといけないことは、ソーシャルレンディング業者が何者なのかということです。
ある意味、そこさえクリアできれば他は考えなくてもいいぐらいなのかもしれません。
ソーシャルレンディングは、まだ比較的新しいタイプの投資です。こういった問題が発生することは十分に注意をしないといけないところでした。
二度と同じような問題が起きないように、規制や法整備がされていく必要があるということがよくわかります。
正直、見えないリスクが多すぎること、またそのリスクをコントロールするすべがほとんどないことなどを考えると、安易に手を出すところではないのかもしれません。
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